K君がオルガンを弾く姿は、僕に強い衝撃と共に、大きな希望と勇気を与えてくれました。
「男でもオルガンを弾いても良いんだ!決して女の子だけが習うものではないのだ」と、オルガンを弾く男の子は自分だけだと思ってた僕にとっては本当に心強く、「こそこそ練習をしなくても良いのかな?」と言う気持ちも出てきました。今でもK君がオルガンを弾いたときの姿は僕の頭に鮮明に焼き付いてます。しかし、K君は音楽の授業や文化祭などで伴奏をする事は無く、スポーツ好きだったため休み時間は常に外で遊び、オルガンを弾く姿を見る事無く四年生になりました。
四年生もクラス替えは無く同じメンバーでしたが、何故か担任の先生が変わりました。一年生から三年生までは女の先生でしたが、四年生の担任の先生は恐ろしいことで有名な男の先生になり、クラス全員ビビってる状態で新学期をスタートしました。
しかし、普段はいつも怒鳴り散らしてるイメージとは違い、意外に優しく音楽が好きだったみたいで、色々な歌を教えてくれました。
オルガンの前に立ち「こう言う歌があるけどどうかな?」と小さなハンドブックの様な楽譜を左手に持ち、右手でメロディーを弾きながら歌を聞かせてくれました。 しかし、その様子は子供にとってはとても違和感があったようで「男のくせにオルガンを弾いてる~」とくすくすと笑ってる女の子達がいました。その事は後に学級新聞にも書かれ、発表された時は先生も苦笑いをしてました。
「やはり男がピアノを弾くってそんなに変な事なのかな… K君もあれ以来オルガンを弾かないし。」とまた寂しい気持ちになってしまいました。
しかし、オルガンを弾く事が好きでたまらなかった僕は「いつか聴いたあの幻の曲、覚えたい!」と言う思いがあり、休み時間にいつもの様にオルガンを弾いてたBさんに「ずっと前に弾いてた暗い曲弾いてくれる??」とお願いをしてみました。
「暗い曲??どの曲だろう?これ?」と「エリーゼのために」の冒頭を弾き始めました。 「ん~…それとは違うんだな…それも良い曲だけど。。」「じゃあこれ??」とまた違う曲を弾き始めました。 「ん~…それとも違うな…」「曲名は??」「それも分からないんだよ。 三年生の時に弾いてるのを聴いたんだけど…」「これ??」とまた違う曲を弾き始めました。「Bさんこんなに沢山弾ける曲があるんだ…」と思いながら、「三年生の時にK君と一緒に弾いてた曲なんだけど?」と言うと、「もしかしてこれ??」とあの幻の曲を弾き始めました。「それそれ!!聴かせて!!」「あ~アラベスクね♪」「ア、アロ…ベスク??」とブルグミュラーの「アラベスク」を弾いてくれました。
その曲に興味津々だった僕は、とにかく覚えたい気持ちが強く「最初の音はどこを弾いてるのだろう?」と目で左手の和音を追い、「あの位置は…ラ…ド…ミ、出だしはラドミなんだ。その後の右手は??右手の最初の音は…ラ!ラドミとラが最初の音か!」とまずは出だしの音を覚えて、早速家に帰りピアニカで音をさらってみました。
二オクターブしか鍵盤がないため完全に片手ずつしか弾くことは出来ません。左手でイントロを弾き、その後右手でメロディーを記憶を辿り弾いてみました。「音は段々上に上がる感じだった。 こんな感じだったような…」と弾いてみました。 「ラシドシラ、ラシドレミ、ミファソラシ?あれ?何か変だな…ミファソラ?」と途中で音がBさんに弾いてもらったのと少し違う箇所が現れ、「ここはどう言う音階なんだ??ミファソラ…で終わると次の音に繋がるけどこれだと音が少ないような…」と分からなくなり、また次の日にBさんに「昨日の曲また聴かせてくれる?」とお願いをしました。
そして再び演奏をしてもらったのですが、つまずいた箇所は何の違和感もなく弾いてました。「速くてどうやって弾いてるのか分からない…」と思い、「ゆ~っくり弾いてくれる?」とテンポをかなり落として弾いてもらいました。そしてよく見ると、音が1つだけ前の鍵盤に戻ってる事が分かり、「なるほど!!あそこはミファソラシと上がるのではなくレミファソラか!しかも左手も押さえる鍵盤がそこで一瞬変わるんだ!!」とモヤモヤが解消されました。
そしてその次のメロディーも同じ様に見て覚え「今弾きたい…忘れてしまわないうちに弾いて覚えたい!!」と思い、Bさんがオルガンのから離れると「一度くらい人に聴かれてももう良いや!!」と開き直り、「アラベスク」の冒頭の部分を弾いてみました。
するとBさんが「あんた!!ピアノ習ってた??」と驚いた表情で戻ってきました。流石にBさんが弾いてるのを見て覚えたとは言えず、「いや、、僕は習ってないけど従姉妹が習っててね」と言葉を濁しました。
僕がオルガンを弾けると言うことは周りに知られてしまいました。
そして、僕がアラベスクを弾き始めた事がきっかけで、この曲がこの後クラスのヒット曲状態になるのでした。
次回に続く…
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「男でもオルガンを弾いても良いんだ!決して女の子だけが習うものではないのだ」と、オルガンを弾く男の子は自分だけだと思ってた僕にとっては本当に心強く、「こそこそ練習をしなくても良いのかな?」と言う気持ちも出てきました。今でもK君がオルガンを弾いたときの姿は僕の頭に鮮明に焼き付いてます。しかし、K君は音楽の授業や文化祭などで伴奏をする事は無く、スポーツ好きだったため休み時間は常に外で遊び、オルガンを弾く姿を見る事無く四年生になりました。
四年生もクラス替えは無く同じメンバーでしたが、何故か担任の先生が変わりました。一年生から三年生までは女の先生でしたが、四年生の担任の先生は恐ろしいことで有名な男の先生になり、クラス全員ビビってる状態で新学期をスタートしました。
しかし、普段はいつも怒鳴り散らしてるイメージとは違い、意外に優しく音楽が好きだったみたいで、色々な歌を教えてくれました。
オルガンの前に立ち「こう言う歌があるけどどうかな?」と小さなハンドブックの様な楽譜を左手に持ち、右手でメロディーを弾きながら歌を聞かせてくれました。 しかし、その様子は子供にとってはとても違和感があったようで「男のくせにオルガンを弾いてる~」とくすくすと笑ってる女の子達がいました。その事は後に学級新聞にも書かれ、発表された時は先生も苦笑いをしてました。
「やはり男がピアノを弾くってそんなに変な事なのかな… K君もあれ以来オルガンを弾かないし。」とまた寂しい気持ちになってしまいました。
しかし、オルガンを弾く事が好きでたまらなかった僕は「いつか聴いたあの幻の曲、覚えたい!」と言う思いがあり、休み時間にいつもの様にオルガンを弾いてたBさんに「ずっと前に弾いてた暗い曲弾いてくれる??」とお願いをしてみました。
「暗い曲??どの曲だろう?これ?」と「エリーゼのために」の冒頭を弾き始めました。 「ん~…それとは違うんだな…それも良い曲だけど。。」「じゃあこれ??」とまた違う曲を弾き始めました。 「ん~…それとも違うな…」「曲名は??」「それも分からないんだよ。 三年生の時に弾いてるのを聴いたんだけど…」「これ??」とまた違う曲を弾き始めました。「Bさんこんなに沢山弾ける曲があるんだ…」と思いながら、「三年生の時にK君と一緒に弾いてた曲なんだけど?」と言うと、「もしかしてこれ??」とあの幻の曲を弾き始めました。「それそれ!!聴かせて!!」「あ~アラベスクね♪」「ア、アロ…ベスク??」とブルグミュラーの「アラベスク」を弾いてくれました。
その曲に興味津々だった僕は、とにかく覚えたい気持ちが強く「最初の音はどこを弾いてるのだろう?」と目で左手の和音を追い、「あの位置は…ラ…ド…ミ、出だしはラドミなんだ。その後の右手は??右手の最初の音は…ラ!ラドミとラが最初の音か!」とまずは出だしの音を覚えて、早速家に帰りピアニカで音をさらってみました。
二オクターブしか鍵盤がないため完全に片手ずつしか弾くことは出来ません。左手でイントロを弾き、その後右手でメロディーを記憶を辿り弾いてみました。「音は段々上に上がる感じだった。 こんな感じだったような…」と弾いてみました。 「ラシドシラ、ラシドレミ、ミファソラシ?あれ?何か変だな…ミファソラ?」と途中で音がBさんに弾いてもらったのと少し違う箇所が現れ、「ここはどう言う音階なんだ??ミファソラ…で終わると次の音に繋がるけどこれだと音が少ないような…」と分からなくなり、また次の日にBさんに「昨日の曲また聴かせてくれる?」とお願いをしました。
そして再び演奏をしてもらったのですが、つまずいた箇所は何の違和感もなく弾いてました。「速くてどうやって弾いてるのか分からない…」と思い、「ゆ~っくり弾いてくれる?」とテンポをかなり落として弾いてもらいました。そしてよく見ると、音が1つだけ前の鍵盤に戻ってる事が分かり、「なるほど!!あそこはミファソラシと上がるのではなくレミファソラか!しかも左手も押さえる鍵盤がそこで一瞬変わるんだ!!」とモヤモヤが解消されました。
そしてその次のメロディーも同じ様に見て覚え「今弾きたい…忘れてしまわないうちに弾いて覚えたい!!」と思い、Bさんがオルガンのから離れると「一度くらい人に聴かれてももう良いや!!」と開き直り、「アラベスク」の冒頭の部分を弾いてみました。
するとBさんが「あんた!!ピアノ習ってた??」と驚いた表情で戻ってきました。流石にBさんが弾いてるのを見て覚えたとは言えず、「いや、、僕は習ってないけど従姉妹が習っててね」と言葉を濁しました。
僕がオルガンを弾けると言うことは周りに知られてしまいました。
そして、僕がアラベスクを弾き始めた事がきっかけで、この曲がこの後クラスのヒット曲状態になるのでした。
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